2015.10.19
総務省、携帯電話料金の引き下げに向けた有識者会議開始
2015.10.19

総務省、携帯電話料金の引き下げに向けた有識者会議開始

佐野正弘
佐野正弘
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総務省は10月19日、「携帯電話の料金その他の提供条件に関するタスクフォース」の第1回会合を開催しました。



総務省


このタスクフォースは、安倍晋三首相が9月11日の経済財政諮問会議で、携帯電話料金の家計負担が大きいため引き下げを検討するよう指示を出したことを受けて実施されたものです。
国内の携帯電話市場は今年3月時点でスマホが過半数を占め、動画の利用などでデータ通信のトラフィックが1人あたり1.25倍に増加。翻ってLTE利用者のデータ通信量は月当たり1GB未満が多いものの、機種変更をしない限り旧料金プランを適用できるため、7GB料金プランを契約している層が最も多いそうです。


携帯電話料金の透明性と公平性とは?

総務相補佐官の太田直樹氏


料金をただ下げてしまうのでは携帯電話業界に与えるインパクトが甚大です。そのため会合の冒頭では、総務相補佐官の太田直樹氏が「単に値段が高くなったから安くするというのではない。利用者の目から見て実際どうなのか、透明性、公平性を確保することを軸に議論いただきたい」と話しています。
より安価な料金でサービスを提供するMVNOも増加していますが、市場シェア全体で見るとまだ2.1%にすぎません。そこで今後は、MVNOが自由な料金プランの設定ができるよう、キャリアが持つ加入者データベースの開放に向けた話し合いを進めるなどして、MVNOの競争力を高める方針も示されています。
もっとも、日本の携帯電話料金を諸外国と比べてみると、欧米の国々との比較で「中くらい」。しかし移動通信のインフラ基盤は諸外国と比べ非常に充実しており、3G、LTEともに高い契約比率を獲得していると評価されています。
一方で、「分かりにくい」「不公平感を生んでいる」との声が多いのが、端末料金の割引。中でも、大手キャリアが全てのユーザの携帯電話料金を原資としながらMNP利用者を優遇する割引をしている現状に、キャリアを変えずに同じ端末を長期間利用し続けているユーザの不公平感が強いとしています。
こうした現状を踏まえ、総務省としては「データ通信や通話のライトユーザに適切なプランが提供されているか」「端末価格と通信料金が一体となっていることが生み出すユーザ間の不公平感をどう考えるか」「MVNOの低廉化や多様化をどう図っていくか」の3つのテーマについて検討すべきと考えているようです。


割引競争、iPhone優位、複雑…料金プランへの要望集中

「携帯電話の料金その他の提供条件に関するタスクフォース」のもよう


続いて野村総合研究所上席コンサルタントの北俊一氏が、携帯電話料金の課題と解決に向けた話し合いの方向性について解説しました。動画やEコマースなど多様なサービスがスマホで利用されるようになり、その支払いがキャリアの決済サービスを通じて行われていることから、家計支出に占める携帯電話の支出は必然的に大きくなる構造にあるとのこと。端末代も実質的に通信料金で回収されているため、「この構造がなくならない限り家計支出に占める割合は増えていくのではないか」と話しています。
北氏は課題として、販売奨励金による過度な安売り競争を挙げています。2007年に通信料と端末料金が一度分離されたものの、その後キャリア間の差がなくなったことで端末の割引競争が再びエスカレート。販売代理店が端末価格を下げるための原資を獲得するため、ユーザに多くのアプリを契約させる取り組みが増えていることに関しても「解約し忘れてしまうと有料になり、過剰な支払いが発生してしまう」と問題視。
これらを解決し公平な料金を実現している一例として、端末の初期費用を抑えるためには月額料金の高いプランを選ぶ必要があるイギリスのEEや、端末と回線の分離を進めた米ベライゾン・コミュニケーションズの料金プラン事例を説明。北氏は「端末と回線の分離を再度進めてMVNOを活性化するか、従来通り端末と回線を一体的に扱い、端末料金を安くするかを選ぶ必要がある」と話しましたが、どちらか一方の仕組みを採用してしまうことには懸念も示しました。「販売奨励金の行き過ぎを是正し、ライトユーザに割り当てる取り組みが自主的にできればいいのではないか」との私見も明かしています。
こうした説明を受けての議論も行われました。「iPhoneユーザと他の端末ユーザに対する割引に、どうして大きな違いがあるのか」(中央大学総合政策学部教授の平野晋氏)、「地方ではライトユーザがなかなかMVNOに出合えない。契約者に優しく、かつ欲しいものだけがシンプルに契約できる仕組みが提供されるべき」(全国地域婦人団体連絡協議会・事務局長の長田三紀氏)、「これだけ高額な販売奨励金を出している国は他にないのではないか。諸外国の販売状況がどうなっているのか調査が必要では」(立教大学法学部名誉教授の舟田正之氏)など、タスクフォースの構成員からさまざまな意見や要望などが出ました。
これらを基に、今後キャリアやMVNO、消費者団体などに対する調査やヒアリングを進めながら、具体的な課題解決に向けた方策を議論していくそう。年内には具体的な方策を打ち出す予定です。

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