2015.10.26
ソニー新規事業発「wena wrist」は入社1年目のアイデアだった
2015.10.26

ソニー新規事業発「wena wrist」は入社1年目のアイデアだった

gooスマホ部編集部
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2014年4月、ソニー株式会社 取締役 代表執行役 社長 兼 CEO・平井一夫氏直轄プロジェクトとして発足した新規事業創出プログラム「Seed Acceleration Program(以下、SAP)」。3ヶ月に一度オーディションが行われ、2014年度は約1,000人が参加し、約400件の応募があったという。そこから出てきたのが、スマートウォッチ「wena wrist(ウェナ リスト)」。当時、入社1年目の社員のアイデアだった。


wena wrist


 アイデアを実現できるのはここしかない wena wristを開発した對馬哲平氏の名刺の肩書を見ると、「新規事業創出部 wena事業準備室 統括課長」と書かれている。まだ入社2年目だと聞いて驚いた。
手のひらにおさまるものが大好きで、使ったものは数知れず。なかでもシャープ「ザウルスMI-M1 PDA」や「iPod touch(初代)」「Wiiのコントローラー」などに刺激を受けて育った對馬氏。共通するのは「使いづらい」。そこから自分なりにカスタマイズし、使えるようにするところに喜びを感じる性分なんだとか。



wena wrist


腕時計をつけていないと落ち着かないうえに前述の心理があいまって、腕時計やウェアラブル、ガジェットが手首を占拠。さすがの對馬氏もこれらをウェアラブルとして集約できないかと思ったのがスマートウォッチ「wena wrist」の原点となる。
「時計には長年培ってきた文化や伝統、アナログ時計としてのかっこよさもあると思うので、それらを大切にしながらガジェットとしての機能や便利さを追求できないか」そこからバンドのなかに機能を入れることを思いついたという。
これを実現できる会社はどこか――やっぱりソニーしかない。面接で「ウェアラブルで将来やっていきたい」と全面にアピールした結果、はれて採用となった。  迷わず「wena wrist」を作ると決めた研修時代 ソニーでは新入社員研修の3か月間、自分のやりたいテーマになんでも取り組んでいいというミッションを与える。もちろん、予算は限られているが、對馬氏は迷わず「wena wrist」を選択した。「wena」は「wear electronics naturally」の略。そこからは業務に必要な知識を身につけながら、3Dプリンタで山のように原型となるものを作る日々。既存のスマートバンドを分解し、配線をちぎって流用してといったこともした。


ソニー株式会社 新規事業創出部 wena事業準備室 統括課長・對馬哲平氏


こうして3ヶ月はあっという間に過ぎ、いよいよ訪れた役員へのプレゼンの機会。現在の製品にも使用されているステンレスでプロトタイプを用意し、持ち時間をフルに使ってスマートウォッチを説明したところ、「すぐに製品化しよう」という役員も現れたほど好評だった。「チャンスだ」と確信したのも束の間、「どうやって製品化するのか解決していなかった」と当時を振り返る。
製品化までのプロセスが見えなかったので、研修終了後、昼休みは先輩に頼み込みプレゼン。いただいた意見をもとに、コストや販路を資料に盛り込むことを続けた。気づくとプレゼン相手50人、資料は200枚に達していた。
協力してくれたのが同期だった。デザイナーの女性はコンセプトブックを提案してくれた。ある同期はwebページを作って持ってきてくれた。さらに、CADで初期検討をしてくれた同期までもいた。新人で残業もないので、夜な夜な集まりディスカッションを繰り返した。

社内の新規事業支援で実現 そして本当のチャンスが訪れる。冒頭で触れた「SAP」だ。既存事業領域にないものを作っていこうというそれは、想定を大幅に上回る社員が参加するほど説明会は人気。上記の3名を含め、Xperiaのメカ設計者やソフト開発者などのプロフェッショナル達にも参画してもらいながらさらに進めていった。


wena wrist

バンドに機能が集約しているため、新しいものが出たらそこだけ交換できる。文字盤も交換可とのこと。

こうしてSAPで採用された「wena wrist」は当初のコンセプト通り、バンドに機能を集約。活動量計測、Felicaを内蔵し、Bluetooth LEでスマホの専用アプリと連携。振動とLEDで着信やメールなどを通知してくれる仕組みとなっている。



wena wristのシームレスな充電器


充電端子を隠したかったのでmicro USBをやめ、クリップ型の充電器をはめることで充電できるシームレスさも見逃せない。オール金属の場合、スマートフォンとの通信がうまくいかないのが常だが、Xperiaの技術も駆使し、実用性も兼ね備えたく、防水 IPX 5と7にも対応すべく開発中だ。



wena wrist

適度な重厚感とフィットさを兼ね備えた一品となっている。
時計らしさも忘れていない。自然なかたちを追求し、ピンやバックルの構造、仕上げも腕時計とまったく同じ手法を用いている。過去、腕時計デザイナーをしている人間が社内にいると聞きつけ相談し、wena wristのデザインを手掛けてもらっている。おかげで、フォルムや装着感、重量、重心など腕時計に欠かせない要素も完全におさえ腕時計としての完成度を高められたとか。 「ぱっと見は普通の時計ですが、よく見ると文字盤がすり鉢状になっています。これはデザイナーのこだわりで、斜めからでも見やすいようにしているんです」。




wena wrist


ちょうどこの日「新しい文字盤ができた」といって見せてもらったのが上の写真(右)。文字がさらに見やすくなっていた。 
あえてクラウドファンディングを選択したことについて、「自分が欲しいものを作ったけれど、世の中に受け入れられるかは別。お客様の声も拾って一緒に作り上げていくことができる」といったことが主な理由だとか。先に行われたCEATEC 2015のwena wristブース出展も関係者だけでやりきった。お客様とゼロの距離で話せたことが功を奏し、今回の文字盤のデザイン変更につながったのだという。

目標は黒字化 「黒字化して事業として成り立たせるのが目的。まだ何も会社に貢献できていないし、製品も改善したいところが山積みです」と謙遜する對馬氏。将来的には「ポケットのなかを空にできるようにしていきたい」という。 クラウドファンディングではすでに目標となる1,000万円を1000%以上も上回る1億399万円を達成(10月25日現在)。10月30日17時まで受け付けており、発送は2016年3月以降を予定。


ソニー株式会社 新規事業創出部 wena事業準備室 統括課長・對馬哲平氏


「20代後半から30代前半の、渋谷のベンチャーで働いているような人にwena wristを使ってもらいたいですね」と話す對馬氏に「製品開発にあたり、ソニーらしさを意識したのか」尋ねてみた。「ソニーらしさ?なんでしょうね…ちょっとわからないですが、『wena wristはソニーらしい』と言われます」。
ソニースピリッツはこうして受け継がれていく。

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