2015.10.28
だれもがスポーツを楽しむ世界へ-テクノロジーで切開く新境地
2015.10.28

だれもがスポーツを楽しむ世界へ-テクノロジーで切開く新境地

gooスマホ部編集部
gooスマホ部編集部
sim通

powerd by goo Simseller

nova3
デジタルコンテンツ技術の国際イベント「デジタルコンテンツEXPO2015」が10月22~25日、東京・日本科学未来館で開催。23日には関連シンポジウム「スポーツを変えるコンテンツ技術の可能性」が開かれました。



TechCrunch Disrupt SF


2020年の東京オリンピック・パラリンピックへの期待が高まりますます注目を浴びるスポーツ業界では、コンテンツ産業で培われた技術の導入で新しい競技を創造する試みが行われています。
シンポジウムの出演者は、慶応大学大学院メディアデザイン研究科教授の稲見昌彦氏、批評誌「PLANETS」の編集長で評論家の宇野常寛氏、ABBALab代表取締役の小笠原治氏、電通CDC、Dentsu Lab Tokyoグループ・クリエーティブディレクターの菅野薫氏。それぞれの視点から新しいスポーツの可能性と、活用されるさまざまな産業分野の技術や学術研究を含めた最新動向、展望などが紹介されました。

だれもが参加できる新領域の「超人スポーツ」

慶応大学大学院メディアデザイン研究科教授の稲見昌彦氏


慶応大教授の稲見氏は、スポーツやテクノロジー、文化を融合しどこでも誰でもが楽しめる新しいスポーツ「超人スポーツ」を啓発する「超人スポーツ協会」の共同代表を務めています。ウェアラブルデバイスなどの使用で人の身体能力を補い拡張することで、年齢やハンディキャップなどの身体差を補完。新領域のスポーツの開発に取り組んでいるとのこと。
ウェアラブルデバイスによる筋力など身体の拡張のみならず、ドローンや自動制御できるボールなどの道具、水中や空中をフィールドにする、身につけたデバイスの組み合わせで自動でメニューが組まれる効率的なトレーニングといった、多様なテクノロジーの活用で、あらゆるジャンルの拡張を実践、提案しているそう。



ヘッドマウントディスプレイとスマートウォッチを装着し技を繰り出す「HADO(はどう)」



跳躍を高めるジャンピングシューズと、バブルボールをかぶり、ぶつかり相撲や障害物競争をする「Bubble Jumper」

左:ヘッドマウントディスプレイとスマートウォッチを装着し技を繰り出す「HADO(はどう)」 右:跳躍を高めるジャンピングシューズと、バブルボールをかぶり、ぶつかり相撲や障害物競争をする「Bubble Jumper」
「得意不得意や年齢、障害、資格を問わず、誰もが楽しくスポーツをする未来をつくりたい。体が不自由な方やスポーツに興味を持っていなかった方でも、テクノロジーの力で自分の力を試してみたいと思えるようになれないか」。同協会は2020年に向けてさらに活動の幅を広げていく予定だそうで、稲見氏は「後からみて伝統に残るようなものをつくっていきたい」と決意を新たにしていました。

データを駆使し感動を再現

電通CDC、Dentsu Lab Tokyoグループ・クリエーティブディレクターの菅野薫氏


電通の菅野氏は、広告やスポーツコンテンツの制作においてテクノロジーを生かした新しい領域の創造に取り組んでいます。テクノロジーとデータを駆使することで、スポーツがもたらす感動や人間への敬意を伝えることを重視。「今までにない技術を考えるのではなく、新しい使い方を発見していきたい。既存の技術でも違う角度を発見することで、新しい表現に取り込んでいきたい」そう。
菅野氏が本田技研工業と共同で手がけた、F1レーサーの故アイルトン・セナ氏が1989年に鈴鹿サーキットで世界最速ラップを樹立した時のエンジン音を再現したCMを紹介。ギアのポジションやエンジンの回転数、車体のスピード、コースのどの辺りを通っていたのかなどをひとつひとつ解析し、シミュレーションを繰り返して実現させたそう。
「データは無味乾燥なイメージがあるが『あの人が、あの時あの場所に立っていた』という軌跡を表現する、感慨深いストーリーを内包するものだと伝えたい」と話しました。



テクノロジーがもたらす自由とは

ABBALab代表取締役の小笠原治氏


小笠原氏のABBALabは、先端テクノロジーの開発・製造企業へ試作段階での投資を行っています。ABBALabが投資している、ウェアラブルデバイスを使用して人体動作の拡張に取り組む会社を紹介し、どのようなことが可能になるのかを提示しました。
ノーニューフォークスタジオが制作するスマートシューズ「Orphe(オルフェ)」は、ダンサーが履いてパフォーマンスするとモーションキャプチャーのように足の軌跡を見ることができます。アップパフォーマが手がける「Eagle Eye(イーグルアイ)」は、サッカー選手のためのトラッキングシステム。ドローンを使って観測することで走った軌跡や距離、スピードなどが確認でき、データを生かしてチームや選手の向上を図れます。exiii(イクシー)がオープンソース化した筋電義手「HACKberry(ハックベリー)」は、3Dプリンターでつくることで安価に手に入れることが可能になりました。
「テクノロジーによって人間の動作が可視化できるようになった。データをとることで人間の行動の精度を極限まで上げる方向や、可視化によるエンターテインメント化などさまざまな可能性が考えられる」と話しました。

エンターテインメントのロジックでスポーツをアップデート

批評誌「PLANETS」の編集長で評論家の宇野常寛氏


冒頭から「スポーツは苦手だけれど、その部分はケアできるのではないか」と切り出したのは宇野氏。近代スポーツが取り込むべき考え方について提言しました。宇野氏によると、近代スポーツには「オンラインスポーツシミュレーションゲームやアイドルの人気投票選挙のように直接参加できる、インターネットの中での標準の感覚がない」。エンターテインメントを成功させているロジックでアップデートすることで、他人事だと思わずに参加できるような仕組みなどが必要だと話しました。
また多様性の重要さも強調。「現在はフィジカルに優れた体が理想とされがちだが、それもひとつの個性にすぎない。さまざまな個性を持った人が活躍できるようにしていく必要があるが、エンタメの持つ仕掛けなら参入障壁も低くなる」と、いろいろな身体を持った人がプレーヤーとして参加できるような取り組みを促しました。
nova3

関連キーワード