2016.1.19
IoTはビジネス行動そのものを変える―「IoT World Forum」報告
2016.1.19

IoTはビジネス行動そのものを変える―「IoT World Forum」報告

gooスマホ部編集部
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NTTレゾナントは社員教育の一環として、専門知識や経験を持つ社内外の人材を講師に招きそのノウハウを共有する場「レゾナント大学」を定期開催しています。第130回の開催となる12月3日は、情報通信専門のシンクタンク、情報通信総合研究所で欧米を中心にIoTの動向を調査している吉岡佐和子氏が登壇。




 情報通信総合研究所で欧米を中心にIoTの動向を調査している吉岡佐和子氏




吉岡氏は10月の「CEATEC JAPAN 2015」でIoTの技術セミナー&ガイドツアーでスピーカーを担当。11月にロンドンで開かれた「IoT World Forum」参加の報告を交えながら、「海外動向にみる、IoTがビジネスにもたらす意義」と題し、IoTの取り組み事例や市場動向、課題について解説しました。


日本の市場規模は2019年に16.4兆円

 NIKEの「FuelBand」


IoT=Internet of Thingsとは、さまざまな物にセンサーと通信機能を搭載しインターネットに接続されている状態のこと。そこから得られるデータを活用して製品やサービスを連動させることで「新たな価値が生まれ、ビジネスチャンスがある」と注目されています。大企業やベンチャーだけでなく、これまでIT分野に関係なかった企業も参入してきており、日本国内でも市場規模は2019年に16.4兆円に達すると予測されています。
IoTが注目を集めたきっかけは、ウェアラブルデバイスの登場。2011年ごろから、NIKEの「FuelBand」を中心にリストバンドタイプが人気を博し、その後はメガネ形や指輪形などデバイスも多様化しました。
関心が集中しているのは、体の感じている情報を数値化し可視化させる活動量計としての用途。歩数計やGPS機能も連動すれば、1日の行動パターンや運動している場所、移動するルートを判別することができ、交通量調査などもそのデータだけで可能だそう。個人情報保護の観点からまだ実現にはいたっていませんが「見える化されたビッグデータを収集解析して活用することで、本来の“ウェアラブル”ではない意味での使い方がでてくるところに、ひとつの鍵がみえる」とのこと。


盛り上がる、車とウェアラブルの連携

LGとアウディ、スマートウォッチ「Pebble」


収集されたビッグデータを何にどう活用するのかは常に議論の的となってきましたが、その流れは2014年に変化。活動量計は購入者の約3分の1がわずらわしさから半年後には着用しなくなる傾向にあり、デバイスメーカーにとってはデータ活用以前の課題となっているそう。打開策へ新たな価値を見いだそうとする取り組みのひとつが、IoT分野の本命といわれているという車との連動。ガソリン残量やこれまでの走行距離などの情報をスマートウォッチで可視化できるほか、車のロックや空調などのリモコンとしても機能。LGとアウディ、スマートウォッチ「Pebble」とメルセデス・ベンツ、サムスン電子「Galaxy Gear」とBMWなどの連携が増えているそうです。
2015年の世界最大の家電見本市「Consumer Electronics Show (CES)」で披露された、スマートウォッチと車の連動のデモンストレーションも紹介。フォルクスワーゲンの電気自動車とGoogleのスマートウォッチ「Moto 360」は、手や音声の操作で無人の車が自動的に駐車場に出入庫。事前に人間が一度運転してルートを覚えさせるとMoto 360のコマンドで同じルートが再現でき、充電の完了などの連絡もスマートウォッチに通知。家庭用の駐車場を想定しているそうです。アウディはカメラを搭載しているため、外の駐車場でも周囲の状況を分析して空きスペースを見つけて自動的に入っていくそう。
ベンツは「Google Glass」との連携を実験中ですが、装着したままの運転はできないため、用途は外出時などの車の位置を確認するためのディスプレー代わりなどにしか検討されていないそう。また電気自動車は法律上公道の走行は不可のため「実用化は法律次第で、まだまだ時間がかかるという話もあった」と話していました。


車はタイヤのついたスマホ


車両診断ポート「OBD-Ⅱ」


車はすでに100以上のセンサー搭載しているため、ネット接続させてさまざまな情報を収集するコネクテッドカーにも言及。カーナビと違い情報を送受信できるため、「情報収集源としての活用がビジネスで多いに役立つ」。車の修理時に故障箇所を判断、把握するために搭載されている車両診断ポート「OBD-Ⅱ」を利用したサービスが増えているそう。
OBD-Ⅱはブレーキなど車の制御情報の収集ができ、アメリカでは1996年、欧州と日本では2000年代から新車への搭載が義務付けられました。接続すると、急ブレーキやスピード超過が多いなどの運転特性や傾向や想定できるため、そこから保険料を算出する事例が海外では最多だそうです。
OBD-Ⅱは1ポートしかないためいちサービスしか接続できませんでしたが、車対応アプリのMojioはデバイスを差し込むことで複数サービスがデータを共有できるプラットフォームを開発。AT&Tと提携してグローバルSIMを搭載し、世界展開も視野に入れているそうです。
車から収集できる情報の活用は、日本でも国土交通省と経産省が動き出しています。OBD-Ⅱから得られるデータはメーカーや年式によってフォーマットなどに違いがあるため、国交省は統一化を目指していますが、車の根幹にかかわる部分のためメーカーとの攻防戦も。「開放されればいろんなサービスの展開が可能。日本も今後進めてほしい」と期待を寄せていました。
電力の見える化にシフトしたスマートホーム


家電を連携させて最適制御と省エネを実現するスマートホーム


車と同じく注目を浴びているのは、家の中の家電を連携させて最適制御と省エネを実現するスマートホームです。どちらも1980年代から数々の構想が練られてきましたが、提供するメーカーで家電を統一する必要性などから普及には至っていませんでした。
2010年に入ってスマートホームは電力の見える化にシフトし、14年にGoogleがサーモスタッドのプラットフォーム「Works with Nest」を提供したことで変化。欧米の家屋は室温を一箇所で集中管理するため、居住者が何時に室温を何度に設定したかをAIで学習、そのデータを接続するほかの機器にも適応させるもので、居住者の帰宅に合わせて温度を設定し、不在中で電気代の安い時間帯に洗濯機を作動させるなど、自動的に行われます。「Nestに対応していればどのメーカーの家電も利用できるため、ベンチャーなどにもチャンスがある。同様のことを考えている団体はいくつもあり、市場は混沌としている」と報告しました。
「ユーザにとって重要なのは、いかに簡単にそれぞれが繋がるか。いろんな企業がオープンな場に参加し、そこで得られる情報をシェアして、どうやったら便利に使えるかを考えていかなければならない」と主張。自前主義の強かったサムスンは家庭用ハブのスマートシングスを買収し、自社プラットフォームへの他社の参画を宣言しています。LGはIoT標準化のアライアンスに参画し、対応している機器はすべてネットワークで接続。通信方式が違っていてもクラウド上でつなげるよう取り組んでおり、通信機能を持たない窓などにもセンサーを内蔵したデバイスを取り付けることで、操作はできなくても可視化できるようシステムを実現しています。
一方、欧州の場合、オランダなどはNestを受け入れていますが、ドイツは敬遠。データの収集は法律でも不適合だそうで、ベンチャーが投資と引き換えにGoogleからデータの提供を求められて拒否し、打ち切られてもデータ提供を避けるほどだそうです。

IoTはビジネスの行動そのものを変える

Philipsの電球「Hue」


IoT World Forumで披露された、少し変わった観点の事例も紹介されました。エネルギー分野にも進出しているRedkneeはIoTのマネタイズをうたっており、過去のデータや外気温から電力消費が伸びると判断すると、居住者向けに映画の割引チケットを配信。家を不在にして電力消費が減らすだけでなく、実際にチケットを使用すると次の電力使用料が割引されるという、一歩踏み込んだサービスを展開しています。
Philipsの電球「Hue」は、LEDの普及で頭打ちになった買い替えビジネスに変化球を投じています。ワイヤレスで操作できたり、専用アプリから調光の色を変えられたりするだけでなく、火災報知器との連動でホームセキュリティーのアラートとしても機能。またスマートシティーへも活用でき、街灯をすべてHueに切り替えれば、一括管理で見回りにかけるコストを削減し、災害情報をライトで町中に警告することもできるそう。「ソリューションを売って新たなマネタイズを生み出す例。電球のように、どこでもあるもののポテンシャルをどう引き出すか。その発想の転換が重要になる」と話しました。
NetflixやUBERなど、5年前には予想もされていなかったネットサービスが隆盛し、同じことがIoTでも起こるだろうといわれています。「モノをトリガーにして動くIoTは、ビジネスの行動そのものを変えるといえる。ただ新しい分野なので、企業も客も時間をかけて学び慣れていなくては。ネットサービスのようになるには5~10年はかかるのでは」との見通しを明かしました。


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