2016.3.28
アプリで勝つためのシナリオはデータから―激動のアプリ市場を読み解く
2016.3.28

アプリで勝つためのシナリオはデータから―激動のアプリ市場を読み解く

ITライフch編集部
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NTTレゾナントは社員教育の一環として、専門知識や経験を持つ社内外の人材を講師に招き、そのノウハウを共有する場「レゾナント大学」を定期開催しています。3月17日に行われた第134回では、App Annieの向井俊介氏による講演「データで見るモバイルアプリ市況 ~新規事業の芽はここにあるのか?~」が行われました。

App Annieは世界ナンバーワンのアプリ情報プラットフォームを持つ企業として、世界中すべての主要なアプリのダウンロード数や収益の推計値をデータベース化しています。向井氏は法人向けセールス全体の統括を行っており、今回は、アプリ市場の動向と展望について、豊富な情報に基づきお話をいただきました。

まずは「市場を知る」ことが必要

向井氏によると、最近はどんなアプリを作ればいいのか。どんなプロモーションを打てばいいのか、どうやってマネタイズしていくのか、そういった質問を受けることが多いといいます。これについては「明確な答えはない」と言わざるを得ないそうです。アプリ市場は変化が多く、きちんと積極的に考える必要があります。そのために「まずは市場を知りましょう」とのこと。

今回の講演では、アプリ市場において、2015年に何が起きたか、2020年にかけてどうなるかという2つのテーマでお話をいただきました。

1つめのテーマである2015年のアプリ市場の傾向について、新興国におけるAndroid端末の普及を背景に、Google Playからのダウンロードが増加しています。特にインドでは50ドル未満でハイスペックなAndroid端末が登場し、爆発的に売れています。一方、クレジットカードなど支払いのためのインフラは整っておらず、さらにある程度の可処分所得が必要なことから、なかなかマネタイズはできていないとのこと。

中国ではAndroidアプリのサードパーティー市場が伸びると同時に、iOSアプリではダウンロード数ですでにアメリカを抜いているそうです。収益に関しても、勢いがあり、2016年には日本を追い越すかもしれないそうです。

一方、アメリカではiOSからの収益が圧倒的に多く、「マネタイズするにはiOS」といいます。このように、例えば日本では両方のストアを手掛けたほうが良いが、国によっては片方にリソースを集中したほうが良いといった状況の違いがあると分析しました。

また、新興国ではタイやアラブ首長国連邦などで収益が伸びているとのこと。アラブのユーザーはCandy Crushなどグローバルで人気のゲームに課金する傾向があり、タイではローカルのコンテンツやゲームが人気だそうです。

こうしたデータはアプリの戦略立案に活用できるとのこと。本当に勝ち目があるのか、なぜ勝てるのかについて、対外的なきちんとした説明や意思決定に役立つそうです。

シェアリング、サブスクリプション、マッチングが拡大

続いて、アプリのエコシステムにおいて、どのようなサービスが展開されているのか解説していただきました。最初にタクシー配車、相乗りサービスについて、UberやGrabTaxi、Lyftのような配車サービスが、利用人数を伸ばしているそうです。全体としてはUberがすごく強いものの、それ以外のアプリが対抗するためにローミング契約を結んでおり、例えばLyftのアプリを入れている人が自国以外ではGrabTaxiを呼ぶといった、慣れ親しんだインターフェースでの利用を可能にする動きもあるとのことです。次に動画サービスについて、2015年にNetflixが日本に上陸し、GyaoやHuluなどが対抗策を打つ中、Amazonプライムの新サービスが価格破壊を行うといった構図が見られました。こうした動画のサブスクリプションサービスが、アメリカを筆頭にヨーロッパ、中国でも拡大しています。

また、恋人探しなどのマッチングサービスも相当伸びており、今や日本も含め「世界中でブーム」だそうです。



アプリはコンテンツと戦略が重要

2つめのテーマとして、2020年に向けたアプリ市場の動きについて解説していただきました。
App Annieでは、アプリ市場は今後、アプリストア内の収益ベースで2016年に510億ドル、2020年に1010億ドルに拡大すると予想しています。これは一般的な経済予測で用いられるのと同様の算出手法を用いた数字とのこと。

また、消費者がスマホを使っている時間のうち、アプリは多くの時間を締めており、最も重要なインターフェースになっているということです。向井氏は、ユーザーのアプリ利用時間にフォーカスする理由として、アプリの勝ち負けは「可処分時間の取り合い」でもあるといいます。ここではコンテンツが重要となり、コンテンツ次第で一度で飽きられたり、何度も利用されたりと、勝ち負けの差は歴然となるそうです。

この点においては、すでに実店舗を持つ小売りやメーカー、メディア、ブランドなどが、アプリを手がかりにユーザーを取り込み、エンゲージメントを高めようとしています。 今は完全にモバイルに特化した「Mコマース」も台頭してきているとのことです。このようにさまざまな企業がアプリへ注目していますが、向井氏によると、必要なのは、戦略立案の段階で先入観や玉石混交の情報に惑わされないことだといいます。参入すべきかどうかについては、きちんとした分析が必要となります。「ここをきちんとしないとユーザーに価値のあるコンテンツにならない。アプリ事業をやるなら勝てるシナリオを作る必要がある」と締めくくりました。

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