2016.5.3
電話や通信が繋がらなくなるのはどうして?
2016.5.3

電話や通信が繋がらなくなるのはどうして?

ITライフch編集部
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あ、またつながらない! スマホを使っていてそんなことに遭遇したことがある人も多いのではないでしょうか。その「つながらない」の原因の一つ「輻輳(ふくそう)」問題を解説します。

携帯電話(スマートフォン)を使っていると、時々、データ通信ができなかったり、電話をかけても「ツー、ツー」になってつながらなかったりしたことがある人も多いのではないでしょうか。

特にそんなことが起こるのは、地震などの広域災害のとき。先日の熊本地震でも、九州各地で電話がつながりにくい状況になっていたようですし、関東でも2011年の東日本大震災の当日は、深夜まで東京でも電話がほとんどつながらなかったことを覚えている人も少なくないでしょう。

こういう時、何が起こっているのかというと、「輻輳」という現象が起こっています。一言で言ってしまえば「混雑しすぎ」という状況です。

では、これはいったいなぜ起こるのでしょうか?

多人数が同時に使える通信の基本的な原理は、「限られた通信資源をいろんな方法で区切って分配すること」です。たとえば、電波一つを、二人の人で交互に使うことでお互いに話ができる、なんてのが最もシンプルな仕組み。

この「交互通信」を使った古い通話機「トランシーバー」を使ったことがある人はもうかなり少ないかもしれませんが、どちらかがボタンを押して話すときはもう一人はそれを聞く側に回ります。でも、お互いに話したいことがたくさんあってマシンガントーク状態になったら、お互いが話そうとしてボタンを押してしまってぶつかり、結局話ができなくなってしまいますね。これが、トランシーバー版の輻輳。

携帯電話は、これをもっとたくさんにしたものです。

AさんからBさんに電話をかけるときには、Aさんの電話→Aさんの近所の基地局(中継アンテナ)→Aさんの近所の交換局→たくさんの交換局がつながった交換局→Bさんの近所の交換局→Bさんの近所の基地局→Bさんの電話

と、いうようにつながるのですが(実際はもう少し複雑です)、それぞれの間の通信資源をたくさんの人と分け合っています。

ですから、たとえば「Bさんの近所の交換局」につなぎたいという人がたくさんいると、交換局がさばける人数を超えてしまったような場合、Bさんの近所の人はみんなつながりにくくなります。どの部分が混雑しているかによって、つながりにくくなる範囲(地域)が違うわけです。今回の地震のように、九州全域で電話がたくさんかかっているような状況だと、九州にある「たくさんの交換局がつながった交換局」が混雑してしまい、九州の中の通話や、関東から九州にかけた通話がつながりにくくなるというわけです。

さて、ここまでは電話の話でしたが、インターネット接続(データ通信)も考え方は全く同じです。LTEなどの新しい方式では昔よりも格段に容量が増えていますが、実は、「同時につなげることができる人」というのは、あまり増えていなかったりします。

なぜなら、LTEの通信方式はとても複雑なので、基地局や交換局の一人当たりの処理量が非常に多く、超高性能のCPUや大容量メモリなどを使ってもさばける数が限られてしまっているからです。特に、「たくさんの交換局につながった交換局」に相当するような装置などは、同時に何百万もの接続が殺到することになりますので、たとえば格安SIMではこの装置の容量不足が原因でつながりにくくなることは確かに起こります。

一方、もう一つのボトルネックと言われるのが、基地局、つまり、無線回線不足です。実は、インターネット接続だと、交換局に相当する部分が割と柔軟に設計できるので、交換局が原因で輻輳を起こすことはまれだと言われています。

一方、基地局はそもそも何百・何千人も同時に接続して使うように設計されていないことが多いようです(不可能ではありませんができるようなものは非常に高価になる)。ですから、ちょっとしたきっかけで輻輳状態に陥る恐れがあります。

実は、通信キャリアはこの部分の輻輳だけはできるだけ避けなければならない事情があります。それは、110番、119番などの緊急通報や、災害時の救援などに使われる優先回線の通信や通話が確保されなければならないからです。無線は生もので、接続している人の距離や移動状況で使う無線資源が変わってくるようなものなので、有線システムのように「輻輳時にも一回線分を確実に開けておく」みたいな制御が非常に難しいのです。ですから、災害などで急に通信する人が増えると、通信規制をしてわざとつながりにくくして輻輳を避けるような仕組みを取り入れています。この部分は基地局単位で制御されるので、実はキャリアでも格安SIMでも全く同じなのです。

■もしもに備えて知っておきたい「災害伝言ダイヤル」

さて、最後に、こんな風に通信規制や輻輳が起こる場合、それでも家族の安否が気になります。そんな時のために、通信キャリア各社が立ち上げたのが「災害伝言ダイヤル」「災害伝言板」。二人の人が連絡を取り合おうとすると、発信する人と着信する人、二か所の回線が同時に必要になりますが、それでは輻輳に拍車をかけます。それを避けるために、一人ずつ別々にアクセスしてメッセージをやり取りできるように、と用意されたものです。これらは、電話番号やメールアドレスなどでお互いを特定してメッセージを簡単に登録できるようになっていますので、災害時にはぜひ活用してください。

他のインターネットサービス会社も同じようなサービスを提供しており、たとえばgoogleも「パーソナルファインダー」というサービスを提供で氏名を指定して安否情報を登録できます。

また、これらを便利に使うためのサービスやアプリなどもいろいろと工夫したものが出ていて、たとえばJ-anpiというサービスは、各社の災害用伝言板やgoogleパーソナルファインダーに加えNHKや日本郵便などが提供する安否情報も一括検索してくれるという仕組みになっています。サービス会社同士の相互検索は通信の輻輳にほとんど影響を与えませんから、こうした統合サービスの活用でさらに輻輳を減らせるようになります。

輻輳はいつどこで起こるかなかなか予想しにくいものですが、大地震などの災害時には、こうしたサービスを活用して輻輳緩和に協力したいものですね。

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